7.かまぼこは脳内酸化ストレスを低下させる
  有用な抗酸化食品です


 
【研究した先生】
 李 昌一(神奈川歯科大学 生体管理医学部講座・助教授)
 
【はじめに】
 
 電子スピン共鳴法とフリーラジカル−全ての物質には、その外部に回転しながら回る電子を持っています。電子の中でしっかりペアになった安定したものは良いのですが、それとは別に対になっていない不安定な物があります。これがフリーラジカルと言われる物質で、その強い酸化力で体の中で、遺伝子を傷つけたり、血管を壊したり色々な悪さをします。代表的な物が活性酸素です。人の体の中では取り入れられた酸素の内3〜10%が活性酸素になると言われています。この活性酸素が酸化ストレスを起こして様々な病気の原因になっていることがわかってきました。
 電子スピン共鳴法はフリーラジカルを色々な物質の種類を把握しながら測定する測定法です。この電子スピン共鳴法を用いて、今回はかまぼこにフリーラジカルを消去する能力(抗酸化能)があるのかどうかを測定しました。
 
【研究の目的】
 
   活性酸素・フリーラジカル(悪い順に−ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、過酸化水素、スーパーオキシドアニオン)による酸化ストレスが、生活習慣病やアルツハイマー病などの神経変成疾患の有力な原因の一つであることがわかっています。この研究では活性酸素・フリーラジカルを唯一直接的に測定可能な電子スピン共鳴法で、酸化ストレス評価法を用いて、かまぼこ製品の活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレス消去能力「抗酸化能」を調べてみました。
 
 【研究方法】
 
1.すり身を研究資料として、in vitro ESRスピントラップ法という方法で直接的な抗酸化能評価を調べました。活性酸素ではヒドロキシラジカル、及びスーパーオキシドアニオンに対する抗酸化能があるか調べました。
2.脳内酸化ストレスを調べるために、脳血液関門を通過できるニトロキシルスピンプローブ(MC_PROXYL)の減衰速度(遅くなるスピード)が指標になります。この測定を自然に高血圧になりやすいラット(SHR)と脳卒中になりやすいラット(SHRSP)を使い調べてみました。
 
【研究結果】
 
 1.すり身の活性酸素に対する抗酸化能−電子共鳴スピンを用いたすり身の活性酸素に対する消去能力は最も過激なヒドロキシルラジカルにありました。酸化力の弱いスーパーオキシドアニオンには消去能力は見られませんでした。
2.SHR,SHRSPはともに高血圧を自然発症してしまう疾患動物です。この2種類の動物に標準の餌とかまぼこのみを餌にした2つの群に分けかまぼこが高血圧、及び脳卒中にどのような影響があるのか、脳内酸化ストレスにどのような影響がでるのかを調べました。この結果かまぼこを餌として食べた群では明らかに脳内酸化ストレスが減少していました。また、高血圧に対する抑制効果も確認が出来ました。
−結論−
 かまぼこは活性酸素ヒドロキシラジカルに対する消去能力を持ち、高血圧症や脳卒中を引き起こす脳内酸化ストレスを低下させる有用な抗酸化食品であることがわかりました。