技がもの云うかまぼこ造り

2016年3月22日
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世の中には、実に多くの資格が存在します。民間資格も合わせると、1000を超える資格があるといわれます。医師、弁護士、公認会計士などは、代表格ですが、かまぼこ職人の世界にも国家資格がありますが、ご存知でしょうか?

かまぼこ造りの腕前を国が認証する「水産練り製造技術士」。1級と2級がありますが、1級はかまぼこ職人にとって、唯一の国家資格なんです。いわば、一流のライセンスといったところでしょうか。資格がなくてもかまぼこづくりはできますが、技能士の肩書きがあれば、その信用度は絶大です。

庖丁一本で生魚をおろしてかまぼこを見事に仕上げる職人の腕を持ち、原料魚の鮮度判定や加熱の最適温度など高度な食品知識を身に付けた人物として、国がお墨付きをくれるわけです。それだけに、ハードルの高い難関資格です。試験は2年に一度行われ、現在までの1級合格者は232人で、受験生の合格率は30~40%と程度となっています。

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機械化が進む製造現場で、このままでは、かまぼこの伝統技術が消滅してしまうと、危機感を抱いたかまぼこ業界において、厚生労働省所管の「水産練り製品製造技能検定試験」制度が開始されたのは、昭和61年のこと。以来、かまぼこ業界に身を置く若者たちにとって技術士資格の取得はあこがれです。

かまぼこ業界では、一昔前までは名人と呼ばれる人たちが各地に点在し、何十年もかけて一つの技術を追求し、突き詰め、究極の技術を会得し、次世代へ繋いできました。業会が毎年開催する品評会会場で、「切り出し」「刷りだし」など、名人たちが、細工ものの伝統技術を鮮やかな手捌きで披露して来場者の喝采を得ていました。

庖丁1本で、あっという間に、金太郎飴のように、どこを切っても、梅とうぐいすが現れる「切り出し」。鶴亀や富士山などをかまぼこに描いてみせる「絞り出し」。
引き起こし、中掛け、上塗りと、付け庖丁を巧に操りながら、板かまぼこを見事に仕上げて見せる板付けなどの技術もこの国家資格で引き継がれていますし、最近では次世代を担う職人の取得も増えています。

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かまぼこ技術士のつくるかまぼこ製品には、機械作りとは一味違った職人の愛情と伝統の味が込められています。ぜひ、1度、ご賞味ください。

 

 

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